私が提案する竹刀

「特に昇段審査合格に挑む方へ」

剣道の持つ「競技性」と「武道性」

剣道には試合に勝つ「競技性」と、昇段審査に合格する「武道性」の両輪を兼ね備えた競技です。どちらも攻めながら相手を活かし質の高い有効打突を決めるのは共通するものの、試合に勝つ目的で振りやすさを重視しすぎるがあまり極度の先細竹刀が出回り強度・安全面から規則も細部に渡り改定されました。

私の竹刀「3つ+1」のコンセプト
(「構えて」「攻めて」「打突する竹刀」)+(「美しさ」)

私も以前はバランスを重視し振りやすさを求めた竹刀を使い、竹刀づくりもバランス重視で重きに考えて降りました。しかし、八段審査を幾度と挑戦する中で数々の学びに触れ、また師匠の教えに触れながらコンセプトを「構えて」「攻めて」「打突する竹刀」そして「竹刀の美しさ」に置くようになりました。

「剣道」と「竹刀づくり」修業の中での私の所感

以下個人的な感想ですが、先が細く軽い竹刀は走るように触れるメリットはあるもの身幅が細く先端の重量が軽い分、中心の攻防にブレが出てしまう傾向があり構えの収まりが安定しない。なので先端が少し身幅があることで中心の攻防ができ、やや先に重心があるものの、竹刀の重みと気位で上から乗って攻める構えを意識し出しました。3回目の八段審査(令和3年11月東京審査)では一次審査は合格する所まで行きました。そして現在、自身の課題として本番での「有効打突」が大きな課題となっています。バランスだけでは「当たる」が先に走ってしまい、本質の「攻め勝って打つ」が「反応して振る」になる傾向がありました。それをやや先重の竹刀で打突するには攻め勝った状態から「竹刀の重み」と「手の内の冴え」「打突の踏み込み」で打つように考え稽古に取り組んでいます。そのためには師匠に「掛かる稽古」をお願いし、「攻めと繋ぎ」を練り、足を使って打ち切る稽古を心がけています。

私が「剣道の師匠」に掛かる稽古の様子

(LINK  :木鶏剣道総合研究所 )

「この竹刀で稽古を積んで使えるようになった時、その時はきっと剣道が変わる」

私の竹刀は竹のみの重さで500g前後となっています。制作の前にお客様と「柄の太さ」や「柄の長さ」などある程度カウンセリングをさせて頂きます。ですので私の竹刀を手に取った時は握りなどは構えが収まるもののやや先に重さを感じるかもしれません。しかしこの竹刀で稽古を積まれ、使いこなせれば国産真竹ならではの「バクッ」と響き渡る有効打突が打てるものと思います。できる限りお出合いし手渡しし、最終微調整(別途)してお渡しすることも可能です。そして納品した後が大切と考えております。稽古でお手合わせ頂きご感想いただければ幸いです。

「完全フルオーダー対応は悪しからず🙇」

「竹刀には哲学がある。」竹刀づくりの工房を構え、情報発信をしていく中で竹刀職人仲間や多くの竹刀への関心の高い方と繋がる機会を得ました。その中である先生が「竹刀には哲学がある。ブレないこと。」そのようにおっしゃっいました。ある程度の要望は聞くものの、作り手が折れてまでの迎合はしない。「作り手一人で作って在庫を売る」スタイルではなく、「できる限り使い手と一緒に作り上げる竹刀(剣道で大切な相気)」を大切にしたいと考えております。

まだ駆け出しで修正するところもあろうかと思いますが「剣道」に「竹刀づくり」に修業を重ねて参ります。ご理解の程よろしくお願いいたします。

「ゆたか竹刀製作所🌱」代表 稲垣 豊

2022年8月29日 記